基本的な考え方
ガリレイグループは、国際的な枠組みである「パリ協定」や「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」などの気候変動に関する国際ルールや法規制を順守し、脱炭素社会やSDGsの実現に向けた環境経営を推進しています。エネルギー使用量の削減やものづくりを通じた環境貢献に積極的に取り組み、エネルギー使用量、CO₂排出量の把握に努め毎年度行政へ適切に報告しています。「環境ビジョン2050」では、「気候変動への対応」を重点課題として、製品・サービスを通じたCO₂排出量の削減やサプライチェーン全体でのCO₂排出量の削減、再生可能エネルギーの導入などに取り組んでいます。
今後もステークホルダーとの対話を通じて事業活動及び製品・サービスの改善に努め、社会の発展に貢献するとともに、企業価値向上に努めます。
TCFDに関する取り組み
ガリレイグループは、2023年6月、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、TCFDに沿ったシナリオ分析に基づく情報開示を行いました。2025年9月に一部内容の見直しを行い、開示内容の拡充を図っております。
今後も、定期的に気候変動関連のパラメータや事業環境の変化を反映し、リスクと機会やその対応策の内容を継続的に見直してまいります。
ガバナンス
気候変動への取り組みについては、サステナビリティ委員会傘下の「脱炭素社会の実現分科会」が中心に推進活動を行っています。分科会の活動実績は、定期的にサステナビリティ委員会に報告され、検証を行っています。
気候関連のリスクおよび機会に対するガバナンス体制図
戦略
分析のプロセス
ガリレイグループは、気候変動対策に取り組み、持続可能な地球環境を次世代に引き渡すことを目的に、サステナブルビジョン「DramaticFuture2050」を策定しています。2050年までの「カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現」に向け「環境ビジョン2050」を掲げ、それを実現するためのアクションとして「環境アクション2030」を策定し、環境先進企業としてステークホルダーからの期待、社会に対して責任を果たしていきます。
ガリレイグループでは、TCFD提言で示された各リスクと機会の項目を参考に、気候変動問題が事業に及ぼす影響について検討を行いました。1.5℃シナリオと4℃シナリオの二つを用い、政策や市場動向の変化(移行リスクと機会)及び災害等による物理的変化(物理的リスクと機会)に関する分析を実施しています。これらの分析を通じて、リスクと機会を洗い出し、事業への影響度と対応策を分析・策定しました。

気候変動シナリオ
ガリレイグループではシナリオ分析の検討にあたり、IEAやIPCCが発行する資料等を参照し、2つのシナリオを設定しています。今後定期的に気候変動関連のパラメータや事業環境の変化を反映し、リスクと機会やその対応策の内容を継続的に見直してまいります。

1850~1900年を基準とした世界の平均気温の変化
出典:IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書 政策決定者向け要約 暫定訳(文部科学省及び気象庁) IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書 政策決定者向け要約 暫定訳(文部科学省及び気象庁)より、図SPM.8を転載
ガリレイグループの気候関連の主なリスクと機会
ガリレイグループではTCFD提言に基づき、気候変動が当社事業に与える影響について1.5℃及び4℃のシナリオを用いて分析を実施しました。
1.5℃シナリオでは脱炭素化への取り組みが進み、GHG排出量に応じた炭素税の賦課によるコストが増加するほか、環境規制(キガリ改正など)の強化により、製品の脱炭素化推進のための研究開発費・設備投資額が増加するリスクなどが想定されます。これらに対して「環境アクション2030」に基づき、CO2排出量の削減や、新冷媒対応のための研究開発や設備投資、技術習得のための教育訓練を推進します。一方で、省エネ・ノンフロン化・冷媒漏えいに対する製品・サービスのニーズの増加や、断熱パネルの非冷空間への用途拡大などの事業機会も見込まれます。更なる省エネ製品の開発・グリーン冷媒への転換や、非冷空間用途を含む高機能断熱パネルの開発を通じて機会の獲得を図っていきます。
4℃シナリオでは自然災害の激甚化により、自社設備の棄損による操業影響や海外からの材料調達の遅延がリスクとして想定されます。これに対しては、BCPや購買計画の策定・見直しや在庫水準の引き上げなどを検討し、対応力を高めてまいります。猛暑の頻発によってコールドチェーンの拡大による冷凍設備・パネルの需要の増加も見込まれ、食の上流へのグループシナジーの拡大を目指します。
本分析結果を踏まえ、当社は排出量削減などの対応策を進めるとともに、気候変動がもたらす変化を中長期的な成長機会と捉え、レジリエンスの高い事業構造と収益基盤の強化を目指してまいります。
気候変動領域における主なリスク・機会
ー2030年を想定した財務影響及びガリレイグループの対応方針ー
リスク
機会 |
ドライバー |
温度帯 |
発生
時期 |
収益
/費用 |
対象 |
自社への影響 |
影響度 |
リスク対応策 |
移行
リスク
|
政策
・
規制
|
既存の製品
及びサービスへの
受託事項及び規制 |
1.5℃ |
中期 |
費用 |
自社 |
環境規制(キガリ改正など)の強化により、製品の脱炭素化推進のための研究開発費・設備投資額が増加する |
中 |
• 環境アクション2030に向け、新冷媒対応のための研究開発や設備投資、技術習得のための教育訓練
|
| 1.5℃ |
中期 |
費用 |
自社 |
省エネルギー規制の強化と対応コストの増加(製品・拠点) |
小 |
• 環境アクション2030「環境性能の高い製品を開発・提供」推進
• 再エネ(太陽光・蓄電池等)導入に向けた投資回収プランや社内設備更新計画の策定
• 優遇策の活用
|
GHG排出
価格の上昇 |
1.5℃ |
中期 |
費用 |
自社 |
自社のScope1及びScope2の排出に対して炭素税が課されることで、事業運営コストが増加する |
小 |
• 環境アクション2030「CO2排出量削減」推進 |
| 1.5℃ |
中期 |
費用 |
上流 |
サプライヤーへの炭素税適用により原材料価格が上昇し、調達コストが増加する |
小 |
• サプライチェーンと協働した対策の強化、売価への転嫁
• お取引先様との新技術の付加価値向上・連携強化
|
| 市場 |
原材料
コストの上昇 |
1.5℃ |
短期
~長期 |
費用 |
上流 |
エネルギー価格の変動により電力料金が上昇することで、エネルギー調達コストが増加する |
小 |
• 太陽光発電の設置、投資
• EVの導入
• モーダルシフトの推進
|
| 評判 |
ステークホルダーの
懸念の増大または
ステークホルダーの
否定的なフィード
バック |
1.5℃ |
短期
~中期 |
収益 |
自社 |
投資家の環境意識の高まりにより、削減の取り組みが遅れた場合に企業価値が低下する |
中
(*)
|
• SBT等の認証の取得
• 株主向けESGコミュニケーションの強化
|
物理
リスク
|
急性 |
サイクロンや
洪水などの
極端な天候事象の
過酷さの増加 |
4℃ |
短期
~中期 |
収益 |
自社 |
自然災害の激甚化により自社施設が損傷・浸水し、自社設備が棄損されたことに伴う操業影響が発生する |
中 |
• BCPの策定
• 高リスク事業拠点の代替策計画
|
| 4℃ |
短期
~中期 |
収益 |
上流 |
自然災害の激甚化により海外からの材料調達が遅延し、販売機会の減少に伴う操業影響が発生する |
中 |
• 複数購買、部品の共通化、在庫水準の引き上げ |
| 機会 |
製品及び
サービス |
低排出商品及び
サービスの開発及び
/または拡張 |
1.5℃ |
中期 |
収益 |
下流 |
環境規制(キガリ改正など)に関する国際的な規制の強化により、冷媒漏えいに対する製品・サービスのニーズが増加する |
大 |
• 環境アクション2030「グリーン冷媒への転換」、「環境性能の高い製品を開発・提供」推進 |
研究開発と
イノベーションによる
新製品または
サービスの開発 |
4℃ |
中期
~長期 |
収益 |
下流 |
断熱パネルの非冷空間への用途が拡大する |
中 |
• 非冷空間用のパネル開発
• 非冷空間へのパネル活用提案 |
気候適応と
保険リスク
ソリューションの
開発 |
1.5℃ |
短期
~中期 |
収益 |
自社 |
機械故障検知システムの開発及び予防保全推進により顧客の信頼を獲得する |
小 |
• 環境アクション2030「冷媒ガス漏えい防止」推進
• 機械故障検知システムの精度向上
• 冷媒ガス漏れ10年保証メンテナンス契約の提案
|
| 市場 |
新しい市場
へのアクセス |
4℃ |
短期
~長期 |
収益 |
下流 |
コールドチェーンの拡大により冷凍設備・パネルの需要が増加する |
大 |
• 環境アクション2030「冷媒ガス漏えい防止」推進
• 機械故障検知システムの精度向上
• 冷媒ガス漏れ10年保証契約の提案
|
| 1.5℃ |
中期 |
収益 |
自社 |
コールドチェーンの拡大により冷凍設備・パネルの需要が増加する |
中 |
• 食材に合わせた適切な凍結、保管方法の提案及び製品開発 |
| 4℃ |
長期 |
収益 |
上流 |
高温地域での冷蔵・冷凍設備ニーズの増大により販路が拡大する |
中 |
• 高温地域対応製品の開発
• 海外販路の強化と現地拠点設立
|
※時間軸:短期:2025年~2028年、中期:2028年~2030年、長期:2030年~2050年
※影響度:小:財務的影響額が10億円以下、中:財務的影響額が10~100億円、大:財務的影響額が100億円以上
(*)ただし、評判リスクは事業への影響度を定性的に評価
気候関連リスク・機会を特定し、それぞれ財務に与える影響を費用・売上に関連付けています。

リスク管理
気候変動に関するリスク管理については、サステナビリティ委員会 の中の「脱炭素社会の実現」に関する分科会において行っています。
指標と目標
「環境アクション2030」のアクションごとに指標と目標を設定しています。上記のガバナンスにおいて各指標の進捗状況がモニタリングされています。取り組みテーマと中長期目標については、「環境マネジメント」のページに記載しております。
CO₂排出量削減 中長期目標(2013年比)
CO₂排出量に関するデータ
CO₂排出量(スコープ1+2)

※2024年度より連結子会社化した日本洗浄機を対象範囲に含めています。
CO2排出量削減への取り組み
最新の省エネ技術の積極導入や再生可能エネルギーの活用などを通じ、バリューチェーン全体でCO2排出量削減に貢献します。
フクシマガリレイ㈱岡山工場、滋賀(水口)工場に太陽光発電設備を導入
業務用冷蔵庫を製造する岡山工場(第一工場・第二工場)とショーケースを製造する滋賀(水口)工場に太陽光発電設備を導入しています。岡山工場では2022年1月より、滋賀(水口)工場では2022年3月より稼働を開始しました。
さらに電力調達を見直し、岡山工場では2022年1月より、滋賀(水口)工場では2024年7月より工場使用電力をCO2フリー電力に転換しました。
これにより、フクシマガリレイ㈱の生産・研究開発活動に使用する電気エネルギーはすべて再生可能エネルギーで賄われ、電力由来のCO2排出がゼロとなりました。
岡山工場
2024年度
CO₂排出量:86%減(2013年度比)
滋賀(水口)工場
2024年度
CO₂排出量:57%減(2013年度比)
建築物のZEB化を推進 ZEBリーディング・オーナー認定登録

当社は、革新的省エネルギー技術の導入による環境負荷の低減を目指し、新本社ビルのZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)※1化を推進しています。
ガリレイグループ本社ビルが「ZEB」を見据えた先進建築物として、50%超の省エネルギーを実現する「ZEB Ready」※2に該当し、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)※3の評価で5つ星を獲得したことから、「ZEBリーディング・オーナー」の認定登録を取得しました。今後もZEBの普及・拡大に努めていきます。
※1 ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは
年間で消費する建築物のエネルギー量を大幅に削減するとともに、創エネでエネルギー収支「ゼロ」を目指した建築物のこと。
※2 ZEBから派生した分類として、下記の「Nearly ZEB」と「ZEB Ready」も広義でZEBに含まれる。
①Nearly ZEB(ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)
ZEBに限りなく近い建築物として、ZEB Readyの要件を満たしつつ、再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量をゼロに近づけた建築物を指す(基準値からのエネルギー削減率が75%~100%未満)。
②ZEB Ready(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・レディ) ZEBを見据えた先進建築物として、外皮の高断熱化および高効率な省エネルギー設備を備えた建築物を指す(基準値からのエネルギー削減率が50%~75%未満)。
※3 建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)とは
建築物のエネルギー消費性能を評価する第三者認証制度の1つ。BELSはBuilding-Housing Energy-efficiency Labeling Systemの略。一般社団法人住宅性能評価・表示協会に登録されたBELS機関が、省エネルギー性能の評価・表示を行う。ガイドラインに基づく表示内容と併せ用途毎の省エネルギー性能指標に応じた★数が表示される。
お客様との協働によるCO₂排出削減貢献
お客様との協働により、エネマネ事業、ZEB化の推進を通して、バリューチェーン全体のCO₂排出量削減に取り組みます。

2022年、環境共創イニシアチブが公募する「ZEBプランナー」に登録されました。
登録番号:ZEB2022P-00004(フクシマトレーディング株式会社)
Scope3削減に向けた取り組み
スーパーマーケット業界初の省エネ達成度ランク最高位「ZEB」認証を取得した原信白根店(新潟市南区)にZEB化を実現するための省エネ設備として、ガリレイエアテックシステムを納入しました。
ガリレイグループは、「ZEBプランナー」に登録し、お客様と協働して「脱炭素社会の実現」に向け、ZEB化の推進を通してScope3削減に貢献します。
イニシアチブへの参加